ウォーミングアップの意義について

こんにちは。

皆さんは、運動前のウォーミングアップをしっかりと行なっていますか?

「なんとなく行っているけれど、何の意味があるのかイマイチ分からない」という人もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今日は、基本中の基本であるウォーミングアップについて、スポーツ科学の観点から解説したいと思います。

ウォーミングアップの構成要素

そもそもウォーミングアップとは、怪我のリスクを抑える為に運動前に行う身体の準備のことです。そして、それは主に以下の五つの構成要素からなっています。

  1. 心拍数を上げる運動
  2. 関節可動域全開まで動かすモビリティエクササイズ
  3. 静的ストレッチ及び動的ストレッチ
  4. 速度、方向を変化させる動的な動き
  5. その運動種目で行われる一般的な動作パターンやスキル練習

これらを効果的に組み合わせることで、怪我のリスクを抑えることは勿論、試合におけるパフォーマンスの向上や、トレーニング効果の増大を狙います。

特に5番は、しっかりと自分が競技種目を行なっているところを意識しながら、頭と体をリンクさせるようなイメージで行いましょう。ただなんとなく体を動かすだけでは、効果は半減してしまいます。

自分にとって何が必要か、試合前に何をすれば動きが良くなるのかを自分で考え、自分なりのルーティンを設定しておくと、身体の反応によってその日の調子を確認したり、安定したパフォーマンスを発揮することに役立ちます。

 

何故怪我の予防に繋がるのか

前述したように、怪我を予防するにはウォーミングアップは欠かせませんが、何故怪我を予防することができるのでしょうか。

まず一つは、筋温を高められることです。筋温が高いということは、それだけ筋肉が解れているということです。逆に言えば、筋温が低い状態は、まだ筋肉が硬いということです。筋肉が強ばった状態でいきなり大きな力を出そうとすると、肉離れのリスクが高まります。その為、大きな力を出す前には必ず筋温を高めておくことが重要なのです。

もう一つは、関節や腱、靭帯などの柔軟性を高められることです。厳密には、腱や靭帯そのものを伸ばすことは出来ませんが、腱や靭帯の周りの筋肉が解れることにより、柔軟性が高まり、断裂のリスクを抑えることができます。

ラグビーなどの接触の多い競技では、横や後ろから急に衝突されることがよくあります。こういった場合に、しっかりと柔軟性が高まっていないと、膝の靭帯を損傷するリスクが非常に高くなってしまいます。

そのため、そういった接触の多い競技ではよりストレッチに時間をかけますが、接触のない陸上競技においても、ストレッチを怠ってはいけません。特に冬場は、気温の低さにより筋肉も靭帯もガチガチに固まってしまっていますので、ストレッチによってしっかりと柔軟性を高めておかないと、ちょっとした躓きや方向転換だけでもブチっといってしまうことが少なくありません。

 

何故パフォーマンス向上するのか

ウォーミングアップの意義は、怪我の予防だけではなく、パフォーマンス向上にもあります。

パフォーマンス向上に繋がる要因として、まず怪我予防の際にも触れた筋温の上昇は、筋パワーの増大に繋がり、筋肉の収縮速度も速めます。特に瞬発的なパワーは、筋温が1℃上昇する毎に4〜5%程向上すると言われています。

また、人間は主として使っている部位に血流を多く流すので、ウォーミングアップを行うことで、骨格筋への血流が増大し、結果として骨格筋で使える酸素の量が増え、より強く長く動けるようになります。

さらには、心拍数の上昇によるアドレナリンの放出、体温上昇によるエネルギー生産量の増加なども、パフォーマンス向上に繋がる要因となります。

 

まとめ

ということで、今日はウォーミングアップについて解説しました。ウォーミングアップは、科学的にも意味のある行為です。

怪我予防の為にも、パフォーマンス向上の為にも、ウォーミングアップはしっかりと行うようにしましょう。

アスリートのオーバートレーニング症候群とは

こんにちは。

今日は、アスリートのオーバートレーニング症候群について解説したいとおもいます。

スポーツ指導者、及びスポーツを実施しているお子さんを持つ保護者の方には是非知っておいていただきたい内容となっておりますので、最後までご覧いただければ幸いです。

オーバートレーニング症候群とは

オーバートレーニング症候群とは、簡単に言えばトレーニングのやりすぎで逆に運動パフォーマンスが低下してしまう症状のことです。

ですが、その原因には、トレーニングによるストレスだけではなく、それ以外の精神的ストレスの蓄積も関わってきます。そして、パフォーマンスが低下してしまい、それがオーバートレーニング症候群だと気づかず、「もっと練習しなくては」と更にトレーニングを重ね、症状が悪化し、またトレーニングを重ね…という悪循環に陥ってしまいます。

オーバートレーニング症候群は、基本的には何らかの異常所見を呈しますが、場合によっては一切の異常が認められないこともしばしばあります。そのため、本人も指導者もなかなか気づくことが出来ません。

さらに、仮にオーバートレーニングだと判断して適切な休養をとったとしても、症状の回復には少なくとも数週間、場合によっては数ヶ月から一年ほどの時間を要する場合も少なくありません。オーバートレーニング症候群とは、それ程に厄介な"病気"なのです。

徴候として見られる症状

オーバートレーニング症候群の徴候として、運動パフォーマンスの低下以外にもさまざまな症状があります。

ます一つは、全身倦怠感です。一日中なんとなく体が重い感じがして、やる気が起きないといった症状が挙げられます。

二つ目は、睡眠障害です。夜疲れているのになかなか寝付けなかったり、夜中に何度も起きてしまったりします。これにより睡眠不足になってしまい、また疲れが溜まるという悪循環を産む原因になります。

三つ目は、食欲不振です。一日中食欲が湧かないという状況が続き、それに伴い筋力も低下し、体重が減少します。さらに、エネルギーか不足するため、集中力も低下してしまいます。

 

また、トレーニング量が過剰であると判断する為の徴候としては、運動中止後10分程度経っても、心拍数が100拍/分を下回らなかったり、嘔吐を訴えたりといったことが挙げられます。

これらの徴候が見られた場合には、オーバートレーニング症候群の疑いがありますので、一度スポーツ医を受診することをお勧めします。

 

予防のためのポイント

オーバートレーニングを予防するためには、指導者がきちんと選手の状態を把握し、危険があると思われる選手に関しては注意深く慎重にモニターする必要があります。選手によって個人差は当然ありますので、練習メニューを個別化するなどして、調整してください。

また、急にトレーニング量を増加させたり、炭水化物の摂取量を減らしたりすることは、オーバートレーニングの原因となる恐れがありますので、極力避けなくてはなりません。

レーニングには必ず回復期というものが必要です。毎日体を追い込んでばかりいては、たちまちオーバートレーニングになってしまいます。休むことも練習のうちだということをしっかりと頭に置いてトレーニングに取り組みましょう。

 

まとめ

ということで、今日はアスリートのオーバートレーニング症候群について解説しました。

スポーツクラブなどで指導を行っている方や、スポーツを実施しているお子さんを持つ保護者の方は、しっかりとこの症状について理解しておく必要があります。

強いアスリートが育つには、環境は何よりも大切です。根性論ではなく、正しい知識を持って正しい指導、正しいサポートを行ってください。

長距離選手が陥りやすい貧血とその予防法

こんにちは。

今日は、長距離選手が陥ってしまいがちな運動性貧血について解説したいと思います。

 

運動性貧血とは

そもそも貧血とは、血が貧しいと書きますが、実際には血液中のヘモグロビン値が低下し、酸素の運搬能力が下がってしまうことを言います。症状としては、すぐ疲れてしまったり、立ちくらみ、息切れ、動悸などがあります。

貧血と診断されるヘモグロビン値の基準は、男性なら13g/dl、女性なら12g/dlと言われていますが、長距離選手なら、それぞれ+1.5くらいは欲しいところです。

ただし、これには個人差が大きく、10g/dlを下回っても自覚症状のない場合や、14g/dl程度でも調子が悪いと感じる場合もあります。

 

貧血になる原因

運動性貧血は、その原因によって細分化され、最も頻度が高いのは鉄欠乏性貧血で、次に多いのが溶血性貧血です。

鉄欠乏性貧血

まず、鉄欠乏性貧血の原因は大きく分けて4つあります。

一つ目は、鉄の摂取不足です。過度なダイエットをしたり、偏食になりがちな人は摂取不足に陥りやすくなります。

二つ目は、鉄吸収の障害です。これは、胃腸の手術を行った人などに発生します。また、カフェインの摂取も鉄分の吸収を阻害するので、貧血気味の人は控えたほうが良いです。

三つ目は、鉄需要の増大です。妊娠している人や、過激なスポーツを行なっている人は、鉄分を多く必要とするため、他の人と同様の摂取量では不足してしまうというワケです。

四つ目が、鉄排泄の増大です。女性の月経や、消化管からの出血の際には、鉄分を余計に排泄してしまいます。女性に貧血の人が多いのは、この鉄排泄の増大が一つの大きな要因となっています。

溶血性貧血

溶血性貧血の原因は、物理的な原因と科学的な原因があります。

物理的な原因は、足底部への衝撃による赤血球の破壊があります。長距離選手は特に、アスファルトなどの硬い路面を長時間走ったりする場面が多いため、この物理的原因による赤血球の破壊のリスクは高いです。

次に、科学的な原因は、運動による代謝性アシドーシスによって起こります。代謝性アシドーシスとは、簡単に言えば運動によって産生される乳酸などにより、身体が酸性に傾く現象のことです。これについての説明はここでは省きますが、とにかく乳酸を大量に出すような激しい運動をしょっちゅう行う人は要注意だということです。

 

運動性貧血の予防

まず、鉄欠乏性貧血を予防するには当然ですが鉄分をしっかりと摂取しなくてはなりません。

鉄分には、肉などに含まれる動物性のヘム鉄と、野菜などに含まれる植物性の非ヘム鉄があります。基本的にはヘム鉄の方が吸収率が良いため、ヘム鉄を積極的に摂取することをお勧めします。

また、鉄はビタミンCやタンパク質と一緒に摂取するとさらに吸収が良くなるので、合わせて摂取するようにしましょう。

鉄を多く含む食材として、レバーはよく知られていますが、その他にも、貝類、魚類などもお勧めです。

次に、溶血性貧血の予防には、足底部への衝撃を減らすため、体重を減らすことや、クッション性の高いシューズを履くことなどが有効です。また、出来るだけ芝生や土などの柔らかいサーフェイスでトレーニングを行うことも貧血予防の点ではいいと思います。

 

まとめ

というわけで、今日は運動性貧血について解説しました。長距離走者にとって貧血は死活問題とも言えますので、正しい知識を持って予防しましょう。

以上です。

【老化防止】肉体の老化とその防止策について

こんにちは。

歳をとると、老化によってどんどん体力も衰えてきて、身体が弱くなってしまいますが、元スポーツ選手や芸能人の方は、意外と歳を取っても元気だったりしますよね。

そこで今日は、加齢による老化現象と、その予防の為の運動について解説していきたいと思います。

筋肉の老化

 まず、筋肉の老化についてです。筋力というのは、40歳を過ぎると1年で平均約1%ずつ減少していくと言われています。ただし、これはあくまでも生活強度が落ちなかった場合の話ですので、運動不足の状態が続けば、当然筋力の低下はより助長されます。寝たきりの状態であれば、2日で1%もの筋力が落ちるということが分かっています。

つまり、運動習慣がなければそれだけ早く筋肉の劣化は進行します。

筋力の低下は、特に下肢において顕著に現れます。中でも、大腿四頭筋前脛骨筋の筋力低下が重要視されています。

この二つの筋肉は、どちらも脚の前面の筋肉で、大腿四頭筋の筋力低下により歩幅は狭くなり、膝も伸びにくく姿勢が悪くなります。そして、前脛骨筋の筋力低下により足先が上がらなくなり躓きやすく、転倒に繋がります。

また、全身の筋肉のうち70%が下半身にあるといわれています。したがって、下肢の筋肉量の低下はそのまま全身の筋肉量の低下に直結します。全身の筋肉量が低下すると何が起こるかと言いますと、それは基礎代謝の低下です。

基礎代謝とは、生きているだけで消費するエネルギーのことで、筋肉量に大きく影響されます。これが低下するということは、当然1日の消費カロリーが減るということですので、今までは太ることのなかった食事量でもブクブク太るようになってしまいます。

 

関節の老化

 次に、関節の老化についてです。

実は、四十肩や五十肩といわれる肩の痛みも、肩関節周囲炎といって肩関節の老化から起こる病気なのです。

もちろん老化するのは肩関節だけではなく、全ての関節が老化します。特に重要なのは、荷重関節と言って、体重を支える役割を持つ関節です。具体的には、足関節や膝関節、股関節、脊椎関節などです。

その中でも特に老化による影響が出やすい、膝関節の老化について解説します。

膝関節が老化すると、膝の関節面、つまり大腿骨と脛骨の接する部分の軟骨が摩耗し、減ってきます。その結果、二つの骨がゴリゴリとぶつかり、少し体重をかけるだけでも痛みが走り、進行すれば、歩行も困難という状況になってしまいます。

これは、変形生膝関節症の一種で、特に女性に発生しやすく、さらにO脚気味の人にはより発生しやすくなります。治療は基本的には対症療法しかなく、大腿四頭筋をはじめとする周囲の筋肉で支えることで負担は小さくなります。

そのため、筋力強化のリハビリが必要となりますが、それでもなかなか改善されないという場合には、人工関節手術を行うしかなくなってしまいます。

 

骨の老化

 次に、骨の廊下についてです。

骨密度が著しく低下する骨粗鬆症は、知っている人も多いと思いますが、何故このようなことになってしまうのでしょうか。

骨というのは、体内のカルシウムの貯蔵庫としての役割と、身体の支持組織としての主に二つの役割を持っています。

このうち、カルシウムの貯蔵庫としての役割がとても重要で、体内の99%のカルシウムが骨に存在しており、血中のカルシウム濃度が不足すると骨から補給しています。ですので、体にカルシウムが不足すると、骨を壊してでもカルシウムを血液に供給します。そのため、カルシウムが不足した状態が続くと、骨がスカスカになってしまい、骨粗鬆症になってしまうのです。

骨粗鬆症の予防には、カルシウムをきちんと摂取するのは当然ですが、日光を浴びることと、適度な運動を行うことが重要です。日光を浴びることで、体内のビタミンDが活性化されます。ビタミンDは、カルシウムが効率的に働くために重要な栄養素です。また、適度な運動によって骨に刺激を入れることで、骨芽細胞という骨を作る細胞な活性化し、骨を作る機能がアップします。

 

老化防止の為の運動

 さて、ここまで、老化によって起こる現象について述べてきました。それらを防止する為には適度な運動が大切です。その「適度な運動」とは一体どのようなものかと言いますと、大きく分けて三つあります。

その三つとは、有酸素運動筋肉トレーニング、柔軟運動です。順番に解説します。

有酸素運動

 有酸素運動とは、持続的に行うことで心拍数が増える運動のことで、ジョギングやウォーキング、サイクリング、水泳などです。効果としては、体脂肪の減少、心肺機能の向上は勿論、睡眠の質の改善や、ストレス軽減、記憶力・認知力の向上、さらには寿命の延長効果も認められています。

有酸素運動は、運動強度を高めるよりも、より長時間行うことで効果を発揮します。最低でも30分程度は行える運動強度で、ゆったりと長い時間体を動かすようにしましょう。

筋肉トレーニング

 筋トレといっても、ここでは自重トレーニングやゴムチューブを使ったトレーニングを指します。バーベルやダンベルを使ったトレーニングは、筋肥大には効果的ですが、老化防止という観点から考えると、少し負荷が大き過ぎるかと思います。効果としては、筋力の増強、骨密度の向上、日常生活動作の安定、脂肪の分解の促進、成長ホルモン分泌刺激などがあります。

また、筋肉量の増加による基礎代謝の向上も期待できます。

柔軟運動

 柔軟運動では、ゆっくりと関節を曲げ伸ばしします。よく早朝からラジオ体操をやっている人がいますが、実はラジオ体操は反動を使う為ストレッチ効果はそこまで高くありません。

あくまでも反動は使わず、ゆっくりと関節を使うイメージを持って行います。効果としては、柔軟性の向上、関節可動域の向上、怪我のリスクの軽減、ストレス軽減などがあります。

 

まとめ

 今日は、加齢に伴う老化現象とその予防の為の運動について解説しました。勿論、充分な栄養と休養も必要ですが、運動が1番不足しやすいです。老化現象が進み、要介護の状態になってしまう前に、しっかりと予防しましょう。

以上です。

長距離レース前の食事の摂り方

こんにちは。

今日は、長距離のレースを走る直前の食事の仕方について解説していきたいと思います。

 

 

グリコーゲンローディング

まず、グリコーゲンローディングについて知っておきましょう。グリコーゲンローディングとは、体内でエネルギー源となるグリコーゲンを貯蔵しておく方法のことを言います。

グリコーゲンは、炭水化物(carbohydrate)を摂取することによって貯蔵されることから、カーボローディングとも呼びます。

ただし、普通は炭水化物とは、糖質と食物繊維を合わせたもののことを言いますが、食物繊維はエネルギーにはならないので、ここでの炭水化物とは、イコール糖質のことだと考えてください。

ただし、炭水化物は1gあたり水3gと結合し、4gのグリコーゲンとして貯蔵されます。

したがって、グリコーゲンローディングをすると一時的にグリコーゲンの分体重が増えてしまいますので、注意が必要です。

 

試合前1週間の食事

具体的には、どのような食事をするかと言いますと、昔は、まず7日前から4日前くらいまで糖質をほとんど摂らないカーボディプリートと呼ばれる作業を行い、体内のグリコーゲンを枯渇させ、3日前から超高糖質食にすることで、通常より多くのグリコーゲンを体内に貯蔵することが出来ると考えられていました。

しかし、最近の研究では、カーボディプリートは不必要、むしろ体への負担が大きくやるべきではないとの見方が広がってきました。

ですので、ディプリートは行わず、それまでは普段通りの食事を摂り、試合の3日前、もしくは4日前くらいから高糖質食にすることでグリコーゲンローディングをすることが出来ます。

具体的な1日の糖質量としましては、体重1gあたり8〜10g程度を摂取すると良いとされています。ただし、糖質を多く摂ると、当然その分摂取カロリーが増えてしまいますので、出来るだけ脂質は抑え、トータルの摂取カロリーは普段とあまり変わらないようにしましょう。

 

試合前日の食事

試合前日は、グリコーゲンローディングを行うのは当然ですが、私が推奨したいのは、をしっかりと飲むことと、ビタミンをしっかりと摂取することです。

まず、最初に書いたように、炭水化物は3倍量の水と結合することでグリコーゲンとして貯蔵されます。したがって、体内の水分が足りていなければ、いくら炭水化物を摂っても脂肪になるだけでグリコーゲンにはなってくれないのです。そのため、出来れば意識的に普段より少し多めに水を飲むようにしてください。

次に、ビタミンに関してですが、ビタミンのなかでも、ビタミンB1は特に大切です。なぜなら、ビタミンB1は炭水化物からのエネルギー産生を助ける働きを持っているからです。そのため、ビタミンB1が不足しているとせっかく貯蔵したグリコーゲンを効率的にエネルギーとして利用することが出来ません。

ちなみに、ビタミンB1を多く含む食材は、豚肉などです。

詳しくはこちらを参照してください。ビタミンB群の働き、多く含まれる食品を紹介

当然ですが、B1以外のビタミンも重要ですのでしっかり摂取するようにしてください。サプリメント等で補うのも良いと思います。

試合当日の食事

試合当日は、まず出来るだけ消化の良いものを摂るというのが鉄則です。

食べ物を消化するのにもエネルギーを使いますので、消化しづらいものを食べてしまうと血液も胃の方に集中してしまいます。

また、食物繊維を摂りすぎると、お腹にガスが溜まってしまうので、食物繊維は出来るだけ控える様にしましょう。

具体的に摂るものとしては、うどん、バナナ、ゼリーなどがいいと思います。

摂取の仕方は、4時間前から1時間前までに体重1kgあたり2〜4gの糖質を摂るようにしましょう。ただし、先述したように消化するのにもエネルギーを使ってしまいますので、直前はやはりゼリーなどで済ませるのが無難かと思います。

 

まとめ

というわけで、今日は試合前の食事について解説しました。

試合前の調整には様々なやり方がありますが、グリコーゲンローディングは先人たちが築き上げてきた一つの正解として有効な手段です。

正しい知識を持って行ってみてください。

遅筋と速筋について

こんにちは。

皆さんは、遅筋と速筋について聞いたことがあるでしょうか。

それぞれ異なる特性を持った筋繊維の種類なのですが、聞いたことはあっても詳しくは知らない、という方が多いのではないでしょうか。

そこで今日は、遅筋と速筋について解説していきたいと思います。

 

 

遅筋、速筋とは

そもそも、遅筋、速筋とは何なのかと言う話ですが、文字通り遅筋は遅い筋肉、速筋は速い筋肉を意味します。

簡単に言えば、長距離走などの持久的な運動に使われるのが遅筋、短距離走や跳躍、投擲などの瞬発的な運動に使われるのが速筋ということになります。

筋繊維の色から、遅筋のことを赤筋、速筋のことを白筋とも呼びます。

 

それぞれの特徴

この二つの筋繊維は、全く異なる特性を持っており、生理学的特性として、遅筋は、収縮の速度が遅く、持続性のある弱い力を発揮し、疲れづらい。速筋は収縮の速度は速く、瞬発的に強い力を発揮し、疲れやすいという特性があります。

解剖学的な特性としては、遅筋はミトコンドリアと毛細血管が多く、平行構造で、線維が細く、色は赤い。速筋は、ミトコンドリアと毛細血管が少なく、羽状構造で、線維が太く、色は白いという特性があります。

 

遅筋と速筋の割合

当然ですが、遅筋の割合が多いほど長距離走に向いており、速筋の割合が多いほど短距離走に向いています。

また、これらの割合は同じ人でも部位によって全く異なります。

たとえば、姿勢維持筋と呼ばれる様な、立っている時や座っている時など、姿勢を維持する為に常に使っている様な筋肉はほとんどが遅筋で構成されています。反対に、普段あまり使わない様な筋肉は速筋の割合が高くなります。

また、遅筋は筋肉の深層部に多く分布し、速筋は表層部に多く分布しています。

そのため、速筋を鍛えると比較的見た目に出やすいですが、遅筋はいくら鍛えても目に見えてムキムキになるということはほとんどありません。これを鍛えるトレーニングが、いわゆるコアトレーニンになります。

ラソン選手が見た目は痩せているのに「体幹がしっかりしている」などとよく言われるのは、厳密にはこの深層部に分布する遅筋、即ちコアをしっかりと鍛えているからなのです。

 

割合は何で決まる?

先述したように、遅筋が多いほど長距離に向いていて、速筋が多いほど短距離に向いているのですが、実は、これらの割合はほとんど遺伝によって規定されます。

生まれた時から割合は決まっていて、トレーニングによって割合を変えることは出来ないのです。研究者によっては、トレーニングを積むことにより速筋に遅筋の様な性質を持たせることも出来ると言う人もいる様ですが、基本的に割合を変えることは出来ないというのが有力な意見です。

そのため、遅筋の割合が多い人は、いくら短距離のトレーニングを積んでも、残念ながらオリンピックに出場するような一流選手になることはほぼ出来ないということになります。

因みに、遅筋と速筋の割合は、大半の人が半々くらいで、なおかつ男女間に差はほとんどないと言われています。

 

まとめ

ということで、今日は遅筋と速筋について解説しました。

自分がなんとなく遅筋タイプかなと感じる人は、長距離をやってみると意外と伸びるかもしれませんよ。

スポーツ・マッサージの種類と手法

こんにちは。

レーニングを継続していると、当然ですが疲労が溜まっていきます。疲労が溜まった状態で無理にトレーニングを行うと、ケガに繋がってしまいますが、トレーニングは継続しなくては意味がありません。

そこで今日は、疲労を回復させるためのマッサージについて解説していきます。

 

マッサージの種類

まず、マッサージには五つの種類があります。

その五つとは、医療マッサージ、保健マッサージ、産業マッサージ、美容マッサージ、そして、スポーツマッサージです。

医療マッサージ

 

医療マッサージとは、その名の通り医療を目的として行われるマッサージのことで、整形外科などで用いられます。中でも、外傷、障害などの治療に用いられる治療マッサージと、高齢者の介護などに用いられる看護マッサージに分けられます。

保健マッサージ

保健マッサージは、病後の代謝促進などを目的とし用いられるもので、温泉などで行われるマッサージがこれに当たります。

産業マッサージ

産業マッサージは、産業人の作業能率を高めることを目的に行われるもので、街のマッサージ店などの大半がこれに当たります。

美容マッサージ

美容マッサージはその名の通り、美容を目的として行われるもので、オイルマッサージなどがこれに当たります。

スポーツマッサージ

スポーツマッサージは、スポーツ選手を対象として、コンディショニングを目的とするマッサージです。疲労の回復は勿論、ウォーミングアップの補助として行われる場合もあります。

 

マッサージの手法

マッサージのやり方はさまざまありますが、その手法は大きく分けて、軽擦法、揉捏法、強擦法、叩打法、振戦法、伸展法、運動法、圧迫法の八つあります。

軽擦法

軽擦法とは、その名の通り軽く撫で擦る方法です。主な作用としては、静脈やリンパの流れを活発にし、血行を改善すると同時に、全身の循環機能を促進します。軽擦法は実施法によりさらに五つに細分化されます。

一つ目は、手掌軽擦法です。これは、掌全体を対象部位の皮膚に付けて擦る方法で、腹部や大腿部などの広い部分に用います。

二つ目は、母指軽擦法です。これは、親指の先もしくは腹で擦る方法で、手や足の指などに用います。

三つめは、二指軽擦法です。これは、親指と人差し指で対象部位を挟んで擦る方法で、これも手や足の指などに用います。

四つ目は、四指軽擦法です。これは、親指以外の四本の指を使って擦る方法で、頭部や前腕、下腿部などに用います。

五つ目が、指髁軽擦法です。これは、手を握り、人差し指から小指の手背側の骨で擦る方法で、臀部や足底などに用います。

揉捏法

揉捏法は、筋肉を手で掴み、揉む方法です。主な作用は、血行を良くし、疲労物質などの老廃物を取り除き、同時に筋肉の収縮力を高め、運動能力を亢進させるところにあります。筋肉中の血液を絞り出すようなイメージで行います。行う際は、体の抹消から中枢に向かって行っていきます。これも、行い方により五つに細分化されます。

一つ目は手掌揉捏法です。これは、掌全体で適度な力を加えながら筋肉をこねるように揉む方法で、主に上腕部や下腿部、胸腹部などの大きな筋肉に用います。

二つ目は母指揉捏法です。これは、親指の腹を使って適度な力を加えながら輪状もしくは線状に揉んでいく方法で、主に頭部や腰部、前腕、下腿部などに用います。

三つ目は二指揉捏法です。これは、親指と人差し指で筋肉をつまむように揉む方法で、首や肩などに用います。

四つ目は四指揉捏法です。これは、親指以外の四本の指の腹で揉む方法で、主に頭部や顔面、胸部、腹部などに用います。

五つ目は双手揉捏法です。これは、両手を使って揉む方法で、上腕部や下腿部などに用います。

 

強擦法

強擦法は、捻挫などにより関節や靭帯がこわばっているときに強く揉むことで浸出物の血液中への吸収を促したり、組織の癒着をはがして関節の動きをよくすることを目的として行う手法です。

叩打法

こうだほう、と読みます。これは、その名の通り叩く手法で、他の手技が終わった後に行います。厳密にはこれも方法によって細分化されますが、基本的には対象者が心地良いと感じる強さと手の部分で叩くだけですので、ここでは割愛します。

振戦法

振戦法は、対象部位を細かく振るわせることで、組織に振動による刺激を与える手法です。主な作用は、神経や筋肉の作用を高め、運動能力を増強させることです。

振戦法には、脚や腕に対して、引っ張りながら細かく振るわせる牽引振戦法と、頭部や腹部、背部などに対して指先で軽く押しながら振るわせる指端振戦法があります。

伸展法

伸展法は、痙攣した筋肉を引き伸ばして治す方法です。主な作用として筋肉の血液循環をよくし、疲労による痛みを和らげたり、筋痙攣を取り除いたりします。

運動法

運動法は、対象者の体を動かしたり、対象者が自ら動いたりすることで疲労の回復や治療を図る方法です。これは、どちらかというとリハビリテーションの領域に入りますが、近年ではマッサージとの組み合わせて行う場面も増えてきました。

圧迫法

最後に圧迫法です。これも文字通り対象部位を圧迫する手法で、主な作用は、神経や筋肉の過敏からくる痛みや痙攣の抑制です。

 

まとめ

というわけで今日は、マッサージの手法について解説しました。長くなってしまいましたが、これらの手法を駆使してマッサージを行っていきます。

ただし、注意すべきは、マッサージはあくまでも対象者を癒すためのものですので、相手のことを一番に考えてマッサージをしてあげてください。

以上になります。ではまた。