筋肉痛の原因、予防法は?
こんにちは。
皆さんは、筋肉痛についてどの程度知っていますか?
今日は、大学でスポーツ学を専攻している私が、根本的に筋肉痛とはなにかという話から、筋肉痛を起こさせる要因などを解説していきたいと思います。
そもそも何故筋肉痛になるのか?
まず、筋肉の収縮様式には、コンセントリック収縮とエキセントリック収縮の二つがあります。コンセントリック収縮とは、力の方向と動きの方向が同じ収縮様式のことです。トレーニングでいえば、重りを挙上しているときがこれにあたります。エキセントリック収縮はその逆で、力の方向と動きの方向が反対の収縮様式のことです。トレーニングでいうと、重りを下ろしているときがこれにあたります。
感覚的には、重りを挙上しているときの方が負荷が高そうですが、実は筋肉にとってはエキセントリック収縮の方が負荷が高いのです。
専門的な話になりますが、筋肉を収縮させる際、筋線維の中のミオシンヘッドという手のような部分がアクチンという場所をつかみ、動かしたい方向に引っ張ることで筋肉を収縮させています。これが、コンセントリック収縮の時にはそのまま引っ張るだけでいいのですが、エキセントリック収縮の時にはミオシンヘッドがちぎれてしまいます。これが、eccentric muscle damageといわれるダメージとなり、そのダメージの症状の一つが、筋肉痛なのです。
また、筋肉痛は正式には「遅発性筋痛」といい、基本的にダメージを受けて少し時間がたってから生じます。よく、「歳を取ったから筋肉痛が遅れてくる」と言われますが、実は筋肉痛は年齢に関係なく遅れてくるものなのです。
予防する方法は?
筋肉痛を予防する方法についてですが、残念ながら今のところ有効な手段はありません。アイシングやマッサージ、ストレッチなど、様々な対策を行った場合でも、ほとんど痛みを防ぐことはできなかったという報告があります。そのため、激しい筋トレを行った際には、筋肉痛というのは甘んじて受け入れるしかありません。
ただし、ケガを防いだり、疲労の軽減という意味では、これらの対策は大いに効果がありますので、筋肉痛を軽減できないからといって怠ることはないようにしましょう。
痛いときは動かないほうがいい?
慣れない人が急に筋トレを始めると、すぐに筋肉痛がきてしまい、「痛いときは安静にしておこう」と言って結局挫折してしまうというパターンがよくありますが、実は筋肉痛は痛みの大きさとダメージの大きさが比例しません。
前述したように、筋肉痛というのは遅れてくるので、筋肉痛がピークの時にはダメージは既に回復し始めています。また、eccentric muscle damageには、repeated bout effectといって、ダメージ回復前に同じ刺激を与えても回復が遅くならず、回復後に同じ刺激を与えてもダメージは著しく軽減されるという特徴があります。
したがって、筋肉痛がきているからといって、トレーニングを休む必要はありません。勿論、どうしても動けないほど痛い場合は、無理にトレーニングを行ってもケガに繋がるだけですので、無理をする必要はありません。
筋トレをしたのに筋肉痛が来ない?
普段から体を鍛えている人の中には、筋肉痛がこないと不安になってしまうという人もいるのではないでしょうか。
筋肉痛が来ない原因は、二つが考えられます。
まず一つは、エキセントリック収縮であるネガティブ動作がおざなりになってしまっている場合です。初めに申し上げたように、エキセントリック収縮によりダメージが起こり、筋肉痛を引き起こしますので、この動作を適当にやってしまうと、適正な負荷がかけられず、筋肉痛が起こらない原因になります。
もう一つは、筋トレの刺激に慣れてしまった場合です。前述したように、ダメージの特徴として、ダメージ回復後に同じ刺激を与えてもダメージは著しく軽減されます。したがって、同じようなトレーニングを繰り返していると、当然ダメージは軽減されていき、筋肉痛もなくなっていきます。
本来は、筋肉痛がこなくとも筋肥大はできるのですが、筋肉痛がないと不安という人も多いと思います。
ですので、体を鍛えていて筋肉痛が来なくなってしまったという人は、普段と違う種目を行って新しい刺激を与えるといいかと思います。
まとめ
ということで、今日は筋肉痛について解説していきました。
筋肉痛に苦しんでいる人も、筋肉痛が来てほしい人も、参考にしていただけたら幸いです。