長距離選手が陥りやすい貧血とその予防法
こんにちは。
今日は、長距離選手が陥ってしまいがちな運動性貧血について解説したいと思います。
運動性貧血とは
そもそも貧血とは、血が貧しいと書きますが、実際には血液中のヘモグロビン値が低下し、酸素の運搬能力が下がってしまうことを言います。症状としては、すぐ疲れてしまったり、立ちくらみ、息切れ、動悸などがあります。
貧血と診断されるヘモグロビン値の基準は、男性なら13g/dl、女性なら12g/dlと言われていますが、長距離選手なら、それぞれ+1.5くらいは欲しいところです。
ただし、これには個人差が大きく、10g/dlを下回っても自覚症状のない場合や、14g/dl程度でも調子が悪いと感じる場合もあります。
貧血になる原因
運動性貧血は、その原因によって細分化され、最も頻度が高いのは鉄欠乏性貧血で、次に多いのが溶血性貧血です。
鉄欠乏性貧血
まず、鉄欠乏性貧血の原因は大きく分けて4つあります。
一つ目は、鉄の摂取不足です。過度なダイエットをしたり、偏食になりがちな人は摂取不足に陥りやすくなります。
二つ目は、鉄吸収の障害です。これは、胃腸の手術を行った人などに発生します。また、カフェインの摂取も鉄分の吸収を阻害するので、貧血気味の人は控えたほうが良いです。
三つ目は、鉄需要の増大です。妊娠している人や、過激なスポーツを行なっている人は、鉄分を多く必要とするため、他の人と同様の摂取量では不足してしまうというワケです。
四つ目が、鉄排泄の増大です。女性の月経や、消化管からの出血の際には、鉄分を余計に排泄してしまいます。女性に貧血の人が多いのは、この鉄排泄の増大が一つの大きな要因となっています。
溶血性貧血
溶血性貧血の原因は、物理的な原因と科学的な原因があります。
物理的な原因は、足底部への衝撃による赤血球の破壊があります。長距離選手は特に、アスファルトなどの硬い路面を長時間走ったりする場面が多いため、この物理的原因による赤血球の破壊のリスクは高いです。
次に、科学的な原因は、運動による代謝性アシドーシスによって起こります。代謝性アシドーシスとは、簡単に言えば運動によって産生される乳酸などにより、身体が酸性に傾く現象のことです。これについての説明はここでは省きますが、とにかく乳酸を大量に出すような激しい運動をしょっちゅう行う人は要注意だということです。
運動性貧血の予防
まず、鉄欠乏性貧血を予防するには当然ですが鉄分をしっかりと摂取しなくてはなりません。
鉄分には、肉などに含まれる動物性のヘム鉄と、野菜などに含まれる植物性の非ヘム鉄があります。基本的にはヘム鉄の方が吸収率が良いため、ヘム鉄を積極的に摂取することをお勧めします。
また、鉄はビタミンCやタンパク質と一緒に摂取するとさらに吸収が良くなるので、合わせて摂取するようにしましょう。
鉄を多く含む食材として、レバーはよく知られていますが、その他にも、貝類、魚類などもお勧めです。
次に、溶血性貧血の予防には、足底部への衝撃を減らすため、体重を減らすことや、クッション性の高いシューズを履くことなどが有効です。また、出来るだけ芝生や土などの柔らかいサーフェイスでトレーニングを行うことも貧血予防の点ではいいと思います。
まとめ
というわけで、今日は運動性貧血について解説しました。長距離走者にとって貧血は死活問題とも言えますので、正しい知識を持って予防しましょう。
以上です。