ウォーミングアップの意義について

こんにちは。

皆さんは、運動前のウォーミングアップをしっかりと行なっていますか?

「なんとなく行っているけれど、何の意味があるのかイマイチ分からない」という人もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今日は、基本中の基本であるウォーミングアップについて、スポーツ科学の観点から解説したいと思います。

ウォーミングアップの構成要素

そもそもウォーミングアップとは、怪我のリスクを抑える為に運動前に行う身体の準備のことです。そして、それは主に以下の五つの構成要素からなっています。

  1. 心拍数を上げる運動
  2. 関節可動域全開まで動かすモビリティエクササイズ
  3. 静的ストレッチ及び動的ストレッチ
  4. 速度、方向を変化させる動的な動き
  5. その運動種目で行われる一般的な動作パターンやスキル練習

これらを効果的に組み合わせることで、怪我のリスクを抑えることは勿論、試合におけるパフォーマンスの向上や、トレーニング効果の増大を狙います。

特に5番は、しっかりと自分が競技種目を行なっているところを意識しながら、頭と体をリンクさせるようなイメージで行いましょう。ただなんとなく体を動かすだけでは、効果は半減してしまいます。

自分にとって何が必要か、試合前に何をすれば動きが良くなるのかを自分で考え、自分なりのルーティンを設定しておくと、身体の反応によってその日の調子を確認したり、安定したパフォーマンスを発揮することに役立ちます。

 

何故怪我の予防に繋がるのか

前述したように、怪我を予防するにはウォーミングアップは欠かせませんが、何故怪我を予防することができるのでしょうか。

まず一つは、筋温を高められることです。筋温が高いということは、それだけ筋肉が解れているということです。逆に言えば、筋温が低い状態は、まだ筋肉が硬いということです。筋肉が強ばった状態でいきなり大きな力を出そうとすると、肉離れのリスクが高まります。その為、大きな力を出す前には必ず筋温を高めておくことが重要なのです。

もう一つは、関節や腱、靭帯などの柔軟性を高められることです。厳密には、腱や靭帯そのものを伸ばすことは出来ませんが、腱や靭帯の周りの筋肉が解れることにより、柔軟性が高まり、断裂のリスクを抑えることができます。

ラグビーなどの接触の多い競技では、横や後ろから急に衝突されることがよくあります。こういった場合に、しっかりと柔軟性が高まっていないと、膝の靭帯を損傷するリスクが非常に高くなってしまいます。

そのため、そういった接触の多い競技ではよりストレッチに時間をかけますが、接触のない陸上競技においても、ストレッチを怠ってはいけません。特に冬場は、気温の低さにより筋肉も靭帯もガチガチに固まってしまっていますので、ストレッチによってしっかりと柔軟性を高めておかないと、ちょっとした躓きや方向転換だけでもブチっといってしまうことが少なくありません。

 

何故パフォーマンス向上するのか

ウォーミングアップの意義は、怪我の予防だけではなく、パフォーマンス向上にもあります。

パフォーマンス向上に繋がる要因として、まず怪我予防の際にも触れた筋温の上昇は、筋パワーの増大に繋がり、筋肉の収縮速度も速めます。特に瞬発的なパワーは、筋温が1℃上昇する毎に4〜5%程向上すると言われています。

また、人間は主として使っている部位に血流を多く流すので、ウォーミングアップを行うことで、骨格筋への血流が増大し、結果として骨格筋で使える酸素の量が増え、より強く長く動けるようになります。

さらには、心拍数の上昇によるアドレナリンの放出、体温上昇によるエネルギー生産量の増加なども、パフォーマンス向上に繋がる要因となります。

 

まとめ

ということで、今日はウォーミングアップについて解説しました。ウォーミングアップは、科学的にも意味のある行為です。

怪我予防の為にも、パフォーマンス向上の為にも、ウォーミングアップはしっかりと行うようにしましょう。