長距離走の能力を決定する3つの要素と練習法
こんにちは。
先日、箱根駅伝の予選会が終わり、いよいよ今年も駅伝シーズンという感じですね。
そうなると、学校の授業やクラブ活動などでも、長距離を走る機会が増えてくるのではないでしょうか。
そこで、今日は科学的に長距離走に重要な3つの要素と、それを伸ばす練習法について解説したいとおもいます。
最大酸素摂取量
最大酸素摂取量とは、1分間にどれだけの量の酸素を取り込めるかという能力のことです。当然、筋肉を動かす為には酸素を必要としますので、この能力が高いと、同じ呼吸量でもより多くの酸素を筋肉に送り込むことができる為、より高いパフォーマンスを発揮出来るというわけです。
長距離選手は、この能力が著しく高く、一般人なら40〜50ml/kg/分程度であるのに対し、長距離選手は65〜75ml/kg/分、中には80ml/kg/分を超える選手もいる様です。
この能力を伸ばす為の代表的な練習方法が、インターバルトレーニングです。
インターバルトレーニングとは、急走期と緩走期を繰り返して走る練習法のことです。急走期は、心拍数180拍/分程度、緩走期は、120拍/分程度が理想です。
目安としては本番のレースのレースペース程度で行います。実際のメニュー例としては、5000mで15分30秒を目指すなら、
1000m(3'05")×5本(r=400m)などでしょうか。(rというのはrecoveryの略で、緩走期を指します。)
乳酸性作業閾値(LT値)
そもそも、乳酸とは何かご存知でしょうか。俗に疲労物質と呼ばれているものです。
しかし、厳密には乳酸とは疲労物質ではなく、すごく簡単に言えばエネルギーを産生する際に発生する代謝産物で、最終的には乳酸もエネルギー源として利用されます。
つまり、乳酸が出た所為で疲れるのではなく、運動強度が高まり、乳酸のエネルギー源としての利用量が、乳酸の生成量に追いつかなくなった結果、乳酸が溜まるのです。
この辺りの理解は曖昧でもいいのですが、とにかく、乳酸が溜まるということは体が辛くなっている証拠です。
運動強度を高めていくと、ある程度までは血中乳酸濃度はほとんど上がりませんが、あるところで急激に上昇します。
これを乳酸性作業閾値(LT値)といいます。この値を超える強度の運動を行うと、どんどん乳酸が溜まっていき、いずれ限界が来てしまいます。逆に言えば、この値を超えないギリギリの強度の運動ならば、半永久的に続けることができます。
その為、この値をアップさせれば、より速いペースで走り続けられるということです。
LT値をアップさせる代表的な練習法には、ペース走があります。ペース走とはその名の通り、一定のペースで決められた距離を走るトレーニングのことです。この時のペースは、自分のLT値前後で行います。
5000mで15分30秒を目指す選手なら、
8000m(3'25"/km)などでしょうか。
筋力
三つ目は、幅広く"筋力"と書きましたが、その内容は色々とあります。一つは勿論脚筋力。これがないと、絶対的なスピードが出せません。
同じトラック1周72秒のペースで走るとしても、全力でも70秒でしか走れない人と50秒で走れる人とでは余裕度が全く違いますよね。
マラソンを目指す選手でも、脚筋力は重要です。脚筋力を鍛えるトレーニングは、スクワットやランジなどです。
次に、筋持久力です。これも当然ですが、脚筋力がいくらあっても、それを持続させる力がなくては意味がありません。これは長距離トレーニングをしていれば自ずとついてくるかと思いますが、時々2時間などの長時間のjogなどを行うと良いでしょう。
そして、体幹も大切です。体幹というのは首から下の四肢以外の全ての筋肉のことを指しますが、これがないと、長く走っていると上体がブレてきてしまい、フォームが乱れてしまいます。フォームが乱れるということは当然本来のパフォーマンスを発揮出来ませんので、地味ですが体幹は非常に重要です。
体幹を鍛えるトレーニングは、プランク、レッグレイズ、クランチ等、様々あります。メニューに悩んだ時は、下のアプリがとても役に立ちます。
その他
既に3つ挙げましたが、勿論それだけでは長距離の能力は決まりません。
たとえば、体脂肪を落とすことも重要です。脂肪は、体を動かすことが出来ない、謂わばただの重りとなりますので、1kgの脂肪が余分につけば、1kgの重りを背負って走る様なものです。また、当然のことですが「慣れ」も重要になってきます。「苦しい」ということに慣れていないと、レース後半に苦しくなってきた時に我慢が効きません。時々タイムトライアルを行なって、レースの苦しさを体に慣らしておくことも必要です。
まとめ
というわけで、今日は長距離走の能力を決定する3つの要素とそれを伸ばす練習法について解説しました。
いずれも、長距離を走る為には重要な要素ですが、結局最後は気持ちです。(笑)
競技として行なっている人も、趣味で行なっている人も、もしタイムが滞ってしまったなら、一度科学的なアプローチで見つめなおしてみてはいかがでしょうか。